Agentic OS 読み替え表 ―― この連載の言葉と、外の世界の名前
この記事の読み方
この連載は、固有名詞を使わない縛りで書いてきました。製品名も、手法名も、会社名も出さず、できるだけ機構だけで語る。その理由は、「名前を知っている」ことと「仕組みを分かっている」こと…
この連載は、固有名詞を使わない縛りで書いてきました。製品名も、手法名も、会社名も出さず、できるだけ機構だけで語る。その理由は、「名前を知っている」ことと「仕組みを分かっている」こと…
Agentic OS 読み替え表 ―― この連載の言葉と、外の世界の名前
この連載は、固有名詞を使わない縛りで書いてきました。製品名も、手法名も、会社名も出さず、できるだけ機構だけで語る。その理由は、「名前を知っている」ことと「仕組みを分かっている」ことを、いったん切り分けたかったからです。
ただし、その書き方には代価があります。読み終えたあと、外の文献や実装へ進もうとしたとき、検索する言葉が見つからない。この頁は、そのための橋です。連載の言い方から、世の中で使われている名前へつなぎ、どの回で扱ったかを引けるようにしています。
この頁だけは、意図的に固有名詞を使います。機構をつかんだあとで、名前を取りに来る場所として使ってください。
L0–L1 算力と推論サービス
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 読み込む相と書き出す相 | prefill / decode | 第39回 |
| 待ってまとめて捌く | continuous batching(連続バッチ処理) | 第2回 |
| 過去の読みの覚え書き | KV cache | 第4回 |
| 頭を減らす/中身を畳む | MQA・GQA / MLA | 第4回 |
| ページ式の置き場・塊の台帳 | PagedAttention(vLLM 系推論エンジン) | 第20回 |
| 数を粗く持つ | 量子化(INT8 / INT4, GGUF 等の形式) | 第32回 |
| 削る前提で鍛える | QAT(Quantization-Aware Training) | 第32回 |
| 前置きを取っておいて使い回す | prompt caching / prefix caching | 補講(12) |
| 冷えた立ち上がり・途中状態の丸ごと保存 | cold start / CRIU・CUDA checkpoint | 第19回 |
| 下書き役が先に書き、検め役が一括で検める | speculative decoding(投機的推論) | 補講(14) |
| 遠くまで運ぶより手元の帯域 | memory bandwidth bound(帯域律速) | 第1回 |
L2 モデル
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 過去を固定サイズの状態に畳む | SSM/線形回帰型(Mamba 系)とのハイブリッド | 第7回 |
| 専門家と、選ぶ門 | MoE(Mixture of Experts)/ router・top-k | 第3回・補講(8) |
| 偏らせないための均しの罰則 | load balancing loss(auxiliary loss) | 補講(8) |
| 意味を座標にする | embedding(word2vec 系→文埋め込み) | 補講(7) |
| 付き合う相手で意味が決まる | 分布仮説(distributional hypothesis) | 補講(7) |
| ご褒美で鍛える環 | RLHF/RLVR・方策勾配(policy gradient) | 第8回・補講(9) |
| 組の中で平均と比べる | group-relative(GRPO 系) | 補講(9) |
| 元から離れない手綱 | KL ペナルティ・reference model | 第41回・補講(9) |
| 対で教える | pairwise preference(Bradley–Terry 型) | 第41回 |
| 好みの代理の点数役 | reward model | 第41回 |
| 対から直接寄せる(代理を立てない) | DPO(Direct Preference Optimization) | 補講(16) |
| 先生の自信の配り方を移す | 知識蒸留(knowledge distillation・soft labels) | 補講(10) |
| 自信の配り方をならす係数 | temperature(蒸留温度) | 補講(10) |
| 検証できるご褒美 | verifiable rewards(RLVR) | 第8回 |
| 次の状態を想像で試す | world model | 第10回・第43回 |
| 言葉の刻み | tokenizer(BPE) | 補講(3) |
| 素材を整える(重複除去・濾過・配合) | data curation / dedup / data mixture | 補講(11) |
| 見る聞くを同じ土俵に乗せる | マルチモーダル(early/late fusion・共有埋め込み空間) | 第47回 |
| 手元の端で動かす | on-device / edge モデル | 補講(15) |
L3 運行時と記憶
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 縛られた実行環境 | sandbox(コンテナ・microVM・WASM) | 第11回 |
| なぜそうしたかを残す記憶 | agent memory(episodic / semantic) | 第12回 |
| 熱い棚と冷たい倉庫 | memory hierarchy / tiered storage | 第24回 |
| 文脈の窓の手入れ | context engineering | 第44回 |
| 真ん中に置いたものは弱い | lost in the middle | 第27回・第44回 |
| 作業場を分けて並行 | worktree / プロセス隔離 | 第23回 |
L4 編成
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 実行の木 | execution tree / trace(可観測性) | 第13回 |
| 振り分け・計画実行・監督 | router / plan-and-execute / supervisor パターン | 第14回 |
| 道具呼び出し | tool calling / function calling | 第15回 |
| 道具の口を共通の協定にする | MCP(Model Context Protocol) | 第15回・第40回 |
| 二度動いても安全 | idempotency(冪等性) | 第15回 |
| 逆打ちの手をペアで登録して逆順に戻す | saga パターン・補償トランザクション | 第46回 |
| 各段95%が十段で約六割 | reliability compounding(0.95^10 ≈ 0.60) | 第14回・第46回 |
L5 安全
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 命令とデータの混在に付け込む | prompt injection | 第16回 |
| 構造で分ける・訓練で無視を教える | instruction hierarchy/StruQ・SecAlign 系 | 第17回 |
| 断片を集めると秘密になる | mosaic effect(モザイク漏洩) | 第22回 |
| 権限を能力の単位で最小に | capability-based security / least privilege | 第26回 |
| 外から「あると思われた」権限 | 表見代理(apparent authority) | 第30回 |
| 戻せる操作と戻せない操作を分ける | reversibility / undo 設計 | 第31回 |
| 取り込む部品の信頼 | supply chain security(SBOM 等) | 第45回 |
| その仕事のぶんだけの短い鍵 | scoped token(OAuth 系)・agent identity | 補講(5) |
L6 評価
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 物差しを作る・当てる | evals | 第18回 |
| 指標が目標になると壊れる | Goodhart の法則 | 第21回 |
| 判定を別のモデルに任せる | LLM-as-a-judge | 第29回 |
| 判定役の三つの癖 | position bias / self-preference / length bias | 第29回 |
| 先に仕様を固める | spec-driven development(SDD) | 第27回 |
| 失敗の記録を読み型にまとめる | error analysis | 第28回 |
| 物差しは古びる | eval rot / benchmark contamination | 第37回 |
L7・外殻・補講
| 連載の言い方 | 外の名前 | 回 |
|---|---|---|
| 層を束ねる外殻 | harness(agent harness) | 第34回 |
| 委ねる速さと確かめる手綱 | delegation & oversight | 第38回 |
| 誰かの代理人としてのエージェント | agent as fiduciary / 代理関係 | 第42回 |
| 意味で探す/名前で当てる | dense retrieval / BM25 | 補講(1) |
| 語から文書への逆引き帳 | inverted index(転置インデックス) | 補講(1) |
| 全部と比べない近道 | ANN(近似最近傍・HNSW 等) | 補講(1) |
| 順位の融合 | RRF(Reciprocal Rank Fusion) | 補講(1) |
| 画面を見る・押す・打つ | computer use(GUI エージェント) | 補講(2) |
| 手分けできる計算・割れない揃え | data/tensor/pipeline 並列・all-reduce | 補講(4)・第53回 |
| 待つ・間で起こす・出来事で起こす | polling / event-driven / スケジューリング | 補講(13) |
名前は入口にすぎません。この表から外の文献へ出て、戻ってきたとき、連載の機構の言葉がそのまま「なぜそう設計されているか」の説明になっているはずです。それがこの連載の使い方です。
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